はじめに
IoT技術の進化に伴い、IoT水表や工業用カメラといったデバイスがますます普及しています。こうした機器の心臓部となるのが電源です。特に、取替えが困難な場所や長時間の使用が要求される環境では、電池の高容量と信頼性が極めて重要です。今回ご紹介するMaxellのCR17335Aは、そうした要求を満たす高性能リチウム電池です。本記事では、CR17335Aの特長や他電池との比較、適したアプリケーションについて詳しく解説します。

CR17335Aの主な特長
MaxellのCR17335Aは、二酸化マンガンリチウム一次電池(充電不可)です。その最大の特長は、高容量(1650mAh)と広い動作温度範囲(-40℃~+85℃)に加え、長寿命(10年間の保存後も安定した放電が可能)と高い信頼性を兼ね備えている点です。
IoT水表は、機械式水表に電子制御と通信機能を追加し、遠隔からの検針や課金、制御を可能にした製品です。このような装置では、電池の消耗によるメンテナンスは極力避けたいため、電池には高い容量と長い寿命が要求されます。CR17335Aはまさにこうしたニーズに応える製品です。
動作温度範囲が広い
-40℃から+85℃という広い動作温度範囲は、寒冷地から炎天下まで、様々な厳しい環境条件下でも安定した動作を可能にします。
保存寿命が長い
例えばCR17450A(CR17335Aと同じシリーズ)の保存特性曲線によると、5年乃至10年保存後も、初期状態とほとんど変わらない安定した放電電圧を維持できます。これはCR17335Aも同様であり、長期間の使用に耐える信頼性の高さが窺えます。
他電池モデルとの比較
以下に、CR17335Aと他の類似する電池モデル(Maxell社内および他社製品)の主な仕様を比較します。
※注: 容量は測定条件により異なります。
この比較表からわかるように、CR17335Aは同じ外形(Φ17mm×33.5mm)の他社電池CR123A(容量1400mAh)と比較して、容量が約18%高い(1650mAh)という特徴があります。これにより、より長い動作時間やメンテナンスサイクルの長期化が期待できます。
応用事例
CR17335Aは、以下のような様々なアプリケーションに適しています。
- IoT水表・ガスメーター: 超低消費電力、長寿命、高信頼性が要求されるスマートメーターの電源として。
- 工業用カメラ: 産業用監視カメラなど、メンテナンスが頻繁に行えない環境や、パルス電流(5mA)を必要とする場面で。
- センサーネットワーク: 各種環境センサー(温度、湿度、煙など)の電源。広い動作温度範囲が活きる。
- その他: 電子巡視システム、LED照明(懐中電灯など)、緊急装置、特定の産業用機器。
まとめ
MaxellのCR17335Aは、その高容量(1650mAh)と優れた保存特性(10年の長期保存後も性能維持)、そして-40℃から+85℃という広い動作温度範囲により、IoT時代の重要なデバイスを支える信頼性の高い電源ソリューションを提供します。特に取り換えが容易ではないアプリケーションや、厳しい環境条件下で使用される装置の設計において、電池選定の重要な選択肢となるでしょう。